この日はバチカン市国へ。キリスト教カトリックの総本山。西洋の歴史はやはりキリスト教無しには語れない。フィレンツェのメディチ家の衰退とともに、新たなパトロンを求めてルネサンス芸術の中心はローマへと移動してくる。
イタリアのローマとの境界線はこのように高い城壁で囲われている。
バチカン美術館。実際には博物館やギャラリーなど、様々な施設の複合体。チケット購入の長蛇の列があるけど、前日にネットで予約しておいたので、サクッと並ばずに入場。
いよいよ中へ。これはラオコーン像。論争はあるみたいだけど、紀元前の古代ギリシャのものと考えられている。ギリシャ神話のトロイアの神官ラオコーンとその子供達が海蛇に巻きつかれている様子を表している。トロイアと聞くだけでもう胸熱。
エジプト関連の展示も大量にある。どれだけ持って帰って来たのよというぐらい展示品の数がハンパない。
地図のギャラリー。1583年当時のもの。やっぱり領地を眺めたくなるのは人の性か。それにしてもかなり正確な地図。
タペストリーのギャラリー。ベルギーのブリュッセルの工房で織られたもの。これで思い出したのが先日NHKの番組でやっていた京都の祇園祭の山鉾の装飾に今も使われているタペストリーの謎。あれは元々はベルギーやオランダから徳川家への贈り物だったらしいとのこと。それが三井家などを経て京都に流れていったとか。こうした品々がいかに貴重だったかを知るとともに、歴史の面白さを感じたのだった。
ラファエロの間。ローマ教皇に寵愛され、バチカンには数多くの作品がある。
ラファエロの間は4つの部屋から成っている。これはコンスタンティヌスの間にある「ミルヴィオ橋の戦い」。
これも教科書の世界「アテナの学堂」。中央のプラトンやアリストテレスをはじめ、古代ギリシャの哲学者達が描かれている。プラトンはダ・ヴィンチがモデルとなっている。
近代、現代のアートも収集されていて、シャガールやダリなんかの作品が無造作に何の隔たりも無く飾られている。
最大のハイライト、システィーナ礼拝堂。ここは写真撮影は禁止のため、公式から画像拝借。薄暗い中で四方と天井を絵に囲まれた神聖な雰囲気は素晴らしいものだった。写真正面はミケランジェロの「最後の審判」。1541年に完成。天国へ行けるものと地獄へ落とされるものとが分けられている。当時の儀典長が裸が多いとクレームを付けたので、ミケランジェロはその人物を地獄に落とされている人として描いたとか(笑)。その儀典長が教皇に言いつけると、教皇は「地獄では私は何の権限もない」と受け流した。こういうエピソード好き(笑)。
出口に向かう螺旋階段。
バチカン美術館を出て、サン・ピエトロ大聖堂へ。ここも非常に大きい。初代のものは4世紀に建てられ、今のものは2代目で1626年に建てられた。名前の通り、キリストの一番弟子であった聖ペテロの殉教の地に建てられている。
ちょっとここは今まで見た教会とはレベルが違ったなー。
ミケランジェロの「ピエタ」。24歳の時の作品。報酬として当時の平均年収の10年分にあたる金額を請求し、発注した枢機卿は高過ぎると言ったが、ミケランジェロは「得をするのはあなたですよ」と言い返したとか。
ここは確か前の前の教皇ヨハネ・パウロ二世のお墓。熱心な信者が祈りを捧げていた。
右側には聖ペテロのブロンズ像。奥に法王祭壇があって、その下に聖ペテロの墓がある。
教皇アレクサンダー7世の記念碑。各所にこうした歴代教皇のものがある。
とにかく豪華。
最後の日の午後はみんなでゆっくりお散歩に。
ローマ市内を流れるテヴェレ川に掛かるミルヴィオ橋。バチカン美術館で見たあの「ミルヴィオ橋の戦い」のミルヴィオ橋。紀元前115年。もういいか(笑)。アーチ部分は当時のもの。それを今も使っているところがローマの奥深さ。また近年イタリアの小説でカップルが南京錠を掛けて鍵を川に投げ入れるというシーンがあったらしく、南京錠がたくさん掛けてあった。こういうのはどこにでもあるねー。
スタジオ・オリンピコ・ディ・ローマ。ローマのサッカーチーム、ASローマとSSラツィオのホームスタジアム。ちなみにここはフォロ・イタリコと呼ばれるムッソリーニのファシスト政権下で建設された複合スポーツ施設で、ここには色々な競技の施設が集まっている。1960年のローマオリンピックのメイン会場にも使われた。日本で言えば、さしずめ代々木みたいな感じ。こうしてはるばる来て見ると、異国の地のチームに来て、人々を熱狂させるというのはやっぱりスゲーなと。
お土産を買いにスーパーへ。ハム、ハム、ハム!これは持って帰れないので可能な限り胃袋へ。
パスタの王国。
オリーブオイルの王国。
スーパーのカゴ。ローラーが付いていてハンドルが伸びるので、スーツケースの様に運べる。これ日本でも真似すれば良いのにー。てか、何個か欲しい。
最後の夜は友人のお母さんの味でもてなしてくれた。マンマの味。トマトソースと塩だけって言ってたけど、なんか違う。変な酸っぱさが全くなく、優しい味で本当に美味しかった。何か秘密があるのかなー。
食後にゆっくりしている時に、友人がとっておきの物を見せてくれた。なんと1世紀から2世紀あたりの古代ローマの釣り針。青銅製。しばし驚愕!!!いやいや、材料を除けば現代の物とほぼ一緒ですやん!やっぱり釣りは人類共通の性か、本能か。いやー、良いものを見た。
こんなものも。ご存知「釣りキチ三平」。イタリア人はみんな知ってるよ、と。IL RAGAZZO PESCATOREは訳すと(釣り少年)って感じかな?
こんな感じでローマでの4日間はアッと言う間に過ぎて、7泊9日のイタリア旅行が終わった。
ローマにいると、当たり前だけれど今という時代が歴史の続きにあって、今もその歴史の中に生きているということを強く感じた。こうした旅の後に改めて思い出しながら勉強してみるというのも面白くてたまらない。
やっぱり塩野七生さんのコレからだな。