それにしても5月というのに今年は暑い日が続く。すっかり夏気分でカレンダーを見ると、まだ5月ということに驚く。このまま梅雨をすっ飛ばして夏に突入しそうな勢い。例年なら梅雨入り前は釣りにとっては最高の季節。雪しろも落ち着き、水棲昆虫のハッチも多くなり、夕方まで面白い釣りが楽しめる。
そんな5月末、一年ぶりにスタイリストの岡部さんとカメラマンの鈴木さんの3人で釣りに行くことになった。この一年、2人は釣りに行きまくっていて、様々な釣りの場面に遭遇し、それぞれ課題を持っているようだった。特に先日はイブニング(釣りでは夕方のチャンスタイムのことをこう呼んだりする)でモンカゲロウのスーパーハッチ(たくさんのカゲロウが集中的に羽化すること)に遭遇し、魚は盛んにライズを繰り返しているのに手も足も出なかったことにショックを受けている様子。今後の釣りの成長のためにチェックポイントを知りたいようだった。
これには素直に感動した。今時、ネット上で何でも知った気になれる世の中で、こんなに真面目に楽しんでいる。これには自分も応えたくて、奮起してまずは場所探しをしてみた。二人はよく栃木の川に行っていたので、栃木県に絞って探してみた。さて、どうなるか。
この日も朝から暑かった。平野部の予想最高気温は28度。週末に一雨欲しかったけど、降ったもののあまり雨量は多くなさそうだった。途中で待ち合わせて到着すると、入渓地点には既に5,6台の車が停まっていた・・・。山菜採りではなさそうな感じ・・・。平日なんですけど・・・。まあ、川は長いし、なんとかなるでしょう。
先行者がどこから入ったか分からなかったので、少しでも時間の経っていそうなやや下の方から入った。やはり入渓地点からしばらくは全く魚っ気ナシ。こういう時はガマンして釣り上がって、釣れ始めるまで待つしかない。
そのうち小さい魚が見え始めて、フライにもポツポツ反応が出だした。そしてこの男がやってくれた。緩い流れの竿抜けポイントにそっとフライを流すと第一イワナくん発見。
そして次もこの男。プールの頭の流れ込みの岩盤横にフライを流すと一発で出た。でもフライには乗らない。針には掛かっていなかったので、まだチャンスがあると判断して再度流す。集中力を切らして欲しくなかったので、気付くと「まだいけるよー!」と中学の部活の応援の様な大声を出していた(笑)。そして、3流し目。ビシっと決まった。そう、ビシッと音が聞こえるような完璧な合わせが決まった。
無事ネットイン!この笑顔。
大の大人3人で山奥で咆哮&ハイタッチ。しばし歓喜に浸る。
これは価値ある一匹。サイズじゃない。流れを見て、アプローチの仕方を見定めて、キャストをスパッと決める。まさに会心の一発だった。
カメラマン鈴木さんも前日の仕事の疲れからか最初こそバラしまくっていたけど、午後には調子を取り戻してきた。結局この日の竿頭。成長著しい。
やっぱりイワナ釣りは楽しい。釣り場も緑が深いし、とにかくイワナはこのクネクネ感が可愛い。カワイイ系でもあり、綺麗系でもあり。
山の奥でこんなに夢中になれるのだ。
イブニングは下流に降りて本流でやろうという案もあったけど、この日はここでやり切って納竿とすることにした。
最後に少しアドバイスしたのは、始めて2,3年の頃にありがちだけど、最初に使った道具や仕掛けを惰性で何も考えずに使い続けないということ。リーダーのシステムなども、個々に決めるものではなくて、流れ、自分の技量、道具、全てのバランスが重要なこと、などなど。
まあ、実際の魚から得られるレッスンに勝るものはないと思う。
そろそろ梅雨入り。今年はしっかり降って、潤してほしい。